< マルコの福音書 13 >

1 イエスが、宮から出て行かれるとき、弟子のひとりがイエスに言った。「先生。これはまあ、何とみごとな石でしょう。何とすばらしい建物でしょう。」
第三項 エルサレムの滅亡等の預言 イエズス[神]殿を出で給ふに、弟子の一人、師よ、視給へ、此石は如何に、此構造は如何に、と云ひしかば、
2 すると、イエスは彼に言われた。「この大きな建物を見ているのですか。石がくずされずに、積まれたまま残ることは決してありません。」
イエズス答へて曰ひけるは、此一切の大建築を見るか、一の石も崩れずして石の上に遺されじ、と。
3 イエスがオリーブ山で宮に向かってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにイエスに質問した。
イエズス橄欖山に於て、[神]殿に向ひて坐し給へるに、ペトロヤコボヨハネアンデリア特に是に問ひけるは、
4 「お話しください。いつ、そういうことが起こるのでしょう。また、それがみな実現するようなときには、どんな前兆があるのでしょう。」
此事等は何時あるべきぞ。而して事の皆果され始めん時に、如何なる兆あるべきぞ、我等に告げ給へ、と。
5 そこで、イエスは彼らに話し始められた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
イエズス答へて彼等に曰ひけるは、汝等人に惑はされじと注意せよ。
6 わたしの名を名のる者が大ぜい現われ、『私こそそれだ。』と言って、多くの人を惑わすでしょう。
其は多くの人我名を冒し來りて、我はキリストなりと云ひて、多くの人を惑はすべければなり。
7 また、戦争のことや戦争のうわさを聞いても、あわててはいけません。それは必ず起こることです。しかし、終わりが来たのではありません。
汝等戰争及戰争の噂を聞きて懼るる勿れ、此事等は蓋有るべし、然れど終は未至らざるなり。
8 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に地震があり、ききんも起こるはずだからです。これらのことは、産みの苦しみの初めです。
即民は民に、國は國に起逆ひ、地震飢饉處々にあらん、是等は苦の始なり。
9 だが、あなたがたは、気をつけていなさい。人々は、あなたがたを議会に引き渡し、また、あなたがたは会堂でむち打たれ、また、わたしのゆえに、総督や王たちの前に立たされます。それは彼らに対してあかしをするためです。
汝等自省みよ、蓋人々汝等を衆議所に付し、汝等は諸會堂にて鞭たれ、我為に證據として、総督と王侯との前に立たんとす。
10 こうして、福音がまずあらゆる民族に宣べ伝えられなければなりません。
然て福音は先萬民に宣傳へられるべし。
11 彼らに捕えられ、引き渡されたとき、何と言おうかなどと案じるには及びません。ただ、そのとき自分に示されることを、話しなさい。話すのはあなたがたではなく、聖霊です。
人々汝等を引きて付さん時、何を云はんかと預案ずること勿れ、唯其時汝等に賜はらん事を云へ、其は言ふ者は汝等に非ずして聖霊なればなり。
12 また兄弟は兄弟を死に渡し、父は子を死に渡し、子は両親に逆らって立ち、彼らを死に至らせます。
兄弟は兄弟を、父は子を死に付し、子等は兩親に立逆ひ、且之を殺さん。
13 また、わたしの名のために、あなたがたはみなの者に憎まれます。しかし、最後まで耐え忍ぶ人は救われます。
汝等我名の為に凡ての人に憎まれん。然れど終まで耐忍ぶ人は救はるべし。
14 『荒らす憎むべきもの』が、自分の立ってはならない所に立っているのを見たならば(読者はよく読み取るように。)ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。
汝等「最憎むべき荒廃」の、立つべからざる處に厳然たるを見ば、読む人は悟るべし。其の時ユデアに居る人々は山に遁るべし、
15 屋上にいる者は降りてはいけません。家から何かを取り出そうとして中にはいってはいけません。
屋の上に居る人は家の内に下り、家より何物をか取出さんとて内に入るべからず。
16 畑にいる者は着物を取りに戻ってはいけません。
畑に居る人は其上衣を取らんとて歸るべからず。
17 だが、その日、悲惨なのは身重の女と乳飲み子を持つ女です。
其日に當りて懐胎せる人、乳を哺する人は禍なる哉。
18 ただ、このことが冬に起こらないように祈りなさい。
此事の冬に起らざらん事を祈れ。
19 その日は、神が天地を創造された初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような苦難の日だからです。
其は其日に際して、神が[萬物を]創造し給ひし開闢の始より今に至るまで曾て有らず、後にも復有らざらん程の難あるべければなり。
20 そして、もし主がその日数を少なくしてくださらないなら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、主は、ご自分で選んだ選びの民のために、その日数を少なくしてくださったのです。
主若其日を縮め給はずは、救はるる人なからん。然れど特に選み給ひし、選まれたる人々の為に、其日を縮め給へり。
21 そのとき、あなたがたに、『そら、キリストがここにいる。』とか、『ほら、あそこにいる。』とか言う者があっても、信じてはいけません。
其時汝等に向ひて、看よキリスト此處に在り、看よ彼處に在り、と云ふ者ありとも之を信ずること勿れ。
22 にせキリスト、にせ預言者たちが現われて、できれば選民を惑わそうとして、しるしや不思議なことをして見せます。
其は僞キリスト、僞預言者等起りて、能ふべくば、選まれたる人々をさへ惑はさんとて、大いなる徴と不思議なる業とを為すべければなり。
23 だから、気をつけていなさい。わたしは、何もかも前もって話しました。
然れば汝等省みよ。我預め一切を汝等に告げたるぞ。
24 だが、その日には、その苦難に続いて、太陽は暗くなり、月は光を放たず、
其時、斯る患難の後、日晦み、月其光を與へず、
25 星は天から落ち、天の万象は揺り動かされます。
空の星隕ち、天に於る能力動揺せん、
26 そのとき、人々は、人の子が偉大な力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを見るのです。
其時人々は、人の子が大いなる権力と榮光とを以て、雲に乗り來るを見ん。
27 そのとき、人の子は、御使いたちを送り、地の果てから天の果てまで、四方からその選びの民を集めます。
時に彼其使等を遣はし、地の極より天の極まで、四方より其選まれたる人を蒐集めしめん。
28 いちじくの木から、たとえを学びなさい。枝が柔らかになって、葉が出て来ると、夏の近いことがわかります。
汝等無花果樹より喩を學べ、其枝既に柔ぎて葉を生ずれば、夏の近きを知る。
29 そのように、これらのことが起こるのを見たら、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。
斯の如く、此事等の成るを見ば、汝等亦其近くして門に至れるを知れ。
30 まことに、あなたがたに告げます。これらのことが全部起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。
我誠に汝等に告ぐ、此事等の皆成るまでは現代は過ぎざらん。
31 この天地は滅びます。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。
天地は過ぎん、然れど我言は過ぎざるべし。
32 ただし、その日、その時がいつであるかは、だれも知りません。天の御使いたちも子も知りません。ただ父だけが知っておられます。
其日其時をば、天に於る天使等も、子も、何人も知らず、唯父のみ[之を知り給ふ]。
33 気をつけなさい。目をさまし、注意していなさい。その定めの時がいつだか、あなたがたは知らないからです。
汝等注意し、警戒し、且祈祷せよ、蓋期の何時なるかを知らざればなり。
34 それはちょうど、旅に立つ人が、出がけに、しもべたちにはそれぞれ仕事を割り当てて責任を持たせ、門番には目をさましているように言いつけるようなものです。
其は恰も人、其家を去りて遠方に旅立つに當り、僕等に命じて、各其務を頒ち充て、門番には警戒する事を命じたるが如し。
35 だから、目をさましていなさい。家の主人がいつ帰って来るか、夕方か、夜中か、鶏の鳴くころか、明け方か、わからないからです。
然れば汝等警戒せよ、家の主の來るは何時なるべきか、夕暮なるか夜半なるか、将鷄鳴く頃なるか朝なるか、之を知らざればなり。
36 主人が不意に帰って来たとき眠っているのを見られないようにしなさい。
恐くは、彼遽に來りて汝等の寝ねたるを見ん。
37 わたしがあなたがたに話していることは、すべての人に言っているのです。目をさましていなさい。」
我汝等に云ふ所を凡ての人に云ふ、警戒せよ[、と曰へり]。

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