< 使徒の働き 11 >

1 第三 エルザレムの信徒ペトロの處置を非難し後之を賞賛す 異邦人も神の御言を請容れし事、使徒等及びユデアに在る兄弟等に聞えしかば、 2 ペトロがエルザレムに上るや、割禮ある人々之を詰りて、 3 言ひけるは、汝何ぞ無割禮の人の中に入りて共に食せしや、と。 4 ペトロ事の次第を説出して云ひけるは、 5 我ヨッペの町に在りて祈り居りしに、氣を奪はるる如くにして幻影に遇ひしが、大いなる布の如き器物の四隅を吊されつつ天より降りて我許に來るを見、 6 熟其中を眺むるに、地上の四足のもの、野獣、爬蟲、及び空の鳥あるを見たり。 7 又、ペトロ起きよ、屠りて食せよ、と我に謂へる聲をも聞きたれば、 8 我、主よ、然らじ、穢れたるもの潔からぬものは曾て我口に入りし事なし、と言ひしに、 9 再び天より聲ありて、神の潔め給ひしものを汝潔からずと言ふこと勿れ、と答へ、 10 三度まで斯の如くなりしが、終に其物皆また天に引上げられたり。 11 折しもカイザリアより、我許に遣はされたる者三人、我が居る家に立止りしかば、 12 躊躇する事なく彼等と共に往け、と[聖]霊我に曰へり。斯て此六人の兄弟も我に伴ひ來り、一行彼人の家に入りたるに、 13 彼、天使の己が家に立ちて、己に次の如く言ふを見し次第を語れり。即ち、人をヨッペに遣はして、ペトロと呼ばるるシモンを招け、 14 彼は汝及び汝が一家の救かるべき御言を汝に語らん、と。 15 然るに我が語出るや、最初我等の上に降り給ひし如く、聖霊彼等の上に降り給ひたれば、 16 我主が曾て、ヨハネは水にて洗したるに汝等は聖霊にて洗せられん、と曰ひし御言を思出せり。 17 即ち神既にイエズス、キリストを信仰せる我等と同様なる恩寵を彼等にも賜ひしを、我抑誰なれば、神に禁ずる事を得べかりしぞ、と。 18 人々是等の事を聞きて黙然たりしが、又神に光榮を歸し奉りて云ひけるは、然れば神は、生命を得させん為に、異邦人にも改心を賜ひしなり、と。 19 第四 アンチオキアの教會開始 抑ステファノの時起りし迫害の為に離散したりし人々は、フェニケア[州]、クプロ[島]、及びアンチオキア[市]まで廻行きしも、ユデア人の外誰にも御言を語らざりしが、 20 彼等の中にクプロ及びクレネの人々ありて、アンチオキアに入りしかば、ギリシア人にも語りて、主イエズスの事を告げ、 21 主の御手彼等と共に在りければ、數多の人信じて主に歸依せり。 22 是等の沙汰エルザレムなる教會の耳に入りしかば、バルナバを遣はしてアンチオキアまで至らしめしに、 23 彼至りて神の恩寵を見て喜び、決心して主に止らん事を一同に勧め居たり。 24 蓋彼は善人にして聖霊と信仰とに充てる人なりければ、夥しき群集主に属けり。 25 然てバルナバ、サウロを尋ねんとてタルソに至り、之に遇ひてアンチオキアに伴ひ行き、 26 兩人彼處の教會に満一年を過して、夥しき群集を教へたり。斯て弟子等はアンチオキアに於て、始て基督信徒と呼ばるるに至れり。 27 其時或預言者等、エルザレムよりアンチオキアに至りしが、 28 彼等の中より一人のアガポと云へる者起ちて、大飢饉の全世界に起るべき事を、聖霊によりて告げ居たりけるに、果してクロウヂオ[皇帝]の時代に起りしかば、 29 弟子等各力に應じてユデアに住める兄弟に補助を贈らん事を定め、 30 遂に之を遂げて、バルナバとサウロとの手に托して長老等に贈れり。

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